開講所属文学部
時間割コード33102101
授業科目名日本語史I
授業科目名(英文)History of Japanese Language I
科目区分学部共通科目
担当教員米谷 隆史
開講年次3年生
学期・曜日・時限前期 月曜日 2時限
単位数2


概要
日本語の語彙の歴史について上代以降の文献資料から考えていきます。一つ一つの語の意味や用法の歴史にも言及しますが、それらの総体としての日本語の語彙の歴史を記述するために、どのような方策と問題点があるかを学ぶことを重視します。
到達目標
 現代の日本語の語彙の構成について、それがどのような変遷の結果であるのかを的確な文章で説明できるようになることを本講義の目標とします。
履修上の注意
1.日本史の基礎知識を確認しておくこと。
2.日本語学概論・日本文法における学習内容を理解していることを前提に講義を進める。基礎知識の記憶に不安がある場合は、概論で使用した教科書を持参し、適宜に参照しながら講義に望むこと。
3.この授業に限らず、参照する文献の一次的な姿について常に関心を抱いておくこと。
授業計画
第1回 語彙研究の位置づけ
内容:「語彙」の定義を踏まえ、音韻、文法、表記のそれぞれの研究と語彙研究との関係を考えます。また、「意味」を説明する言語のあり方についても確認します。
第2回 和語の語形と語構成(1)
内容:上代の文献に見える和語の長さに注目し、名詞と形容詞について、その語音構成と語構成から類推される語形成のありようとを考えます。
第3回 和語の語形と語構成(2) 
内容:形容詞の語幹の位置づけを確認し、ク活用・シク活用の両活用形の相違と語義との相関について考えます。
第4回 語種と語義の関係(1)
内容:、『分類語彙表』に代表されるシソーラスについて学びます。次に、主に近現代日本語に関するシソーラスを用いた計量的なデータを紹介しつつ、語種と語義との関係について考えます。
第5回 語種と語義の関係(2)
内容:上代から中古の文献に見える和語と漢語の品詞や意味分野について検討します。
第6回 文体と語彙(1)
内容:いずれの時代においても、資料の文体は、資料内の使用語彙に大きな影響を与えています。中古、中世の各時代について、和文と漢文訓読文の各々の特徴を踏まえ、文体と語彙との関係を考えます。
第7回 文体と語彙(2)
内容:所謂「和漢混淆」とは何かを、院政期頃までの文献から検討した上で、「和漢混淆文」成立の意義を確認します。
第8回 外国資料に見る日本語(1)
内容:16世紀後半に日本に訪れた宣教師たちはキリシタン資料と称される一群の書物を書写、出版しています。その文化史的な意味とキリシタン資料に見られる日本語研究を紹介します。
第9回 外国資料に見る日本語(2)
内容:キリシタン資料と朝鮮資料、日本人だけの手になる資料とを比較し、日本語の語彙を研究する上で、各々にどのよう利点と欠点があるのかを確認します。
第10回 上方語から江戸語へ(1)
内容:18世紀の中頃を境に、日本語史の記述に参照される資料は上方語文献から江戸語文献に移っていきます。近松や西鶴の作品に代表される上方語文献に見る語彙の特徴を確認します。
第11回 上方語から江戸語へ(2)
内容:式亭三馬の作品や人情本に代表される江戸語文献に見られる語彙の特徴を確認します。また、江戸語がどのようにして成立したのかについても考えます。
第12回 文献に見る方言語彙(1)
内容:上代以降の中央語以外の日本語(方言)を記述する文献について概説します。
第13回 文献に見る方言語彙(2)
内容:文献上に見られる方言記述と現代方言との関係を考えます。また、方言区分論や方言周圏論との関係を踏まえて、現在の方言分布が日本語の語彙史研究に寄与しうる事例について検討を加えます。
第14回 近代化と日本語の語彙(1)
内容:明治維新前後から大量に用いられるようになった漢語語彙について、増加の経緯や語構成の特徴について考えます。
第15回 近代化と日本語の語彙(2)
内容:近代日本語に見る外来語の役割について、漢語との相違を踏まえて検討します。

受講者の理解度と関心及び研究の動向により、内容や順序を若干変更することがあります。
予習・復習
について
次回の講義に向けた参考文献を配布することがあります。
文献は異なっても、その記述の意味を丁寧に読み解くことの大切さは同じです。復習の際には、語彙史そのものの知識だけではなく、文献に記された事象を解釈していく手法をも重視すること。
使用教材
『国語史を学ぶ人のために』木田章義編(世界思想社)
その他適宜資料を配付します。
参考文献
『亀井孝論文集 3・4』亀井孝(吉川弘文館)
『講座国語史 語彙史』(大修館書店)
『漢語研究の構想』池上禎造(岩波書店)
『国語語彙史研究』前田富祺(明治書院)
『講座 日本語の語彙』(明治書院)
『シリーズ日本語史2 語彙史』(岩波書店)
『シリーズ日本語史4 日本語史のインタフェース』(岩波書店)
『語彙論研究』宮島達夫(むぎ書房)
『方言学的日本語史の方法』小林隆(ひつじ書房)
単位認定
の方法
到達目標の達成について、下記1と2の観点で判断して評価します。
1 学期末試験の点数を90パーセントとします。
2 毎回の講義終了時に質問・感想記入用のカードを配布します。講義内容の発展や理解につながる有益かつ具体的な記述に対して、全体の成績の10パーセントを上限に加点します。
成績評価基準
試験については、各問とも、問題の所在を理解し基本的な推論の流れに添った説明ができていることを以て6割の得点とし、用例や因果関係に基づく分析を適切に援用して説明しているか否かによって加点分を判断します。
その他1
その他2
参考URL