[熊本県立大学] 飯村研究室 (飯村伊智郎) | 知能情報学

研究目的

  • 飯村研究室では,「かしこいソフトウェア」と「やさしいコンピュータ」をキーワードに,人間とコンピュータとが豊かに共存し安心できる便利な社会の実現に貢献することを研究目的としています.

かしこいソフトウェア

  • 企業活動の計画・運用に関わる問題の多くは最適化問題として捉えることができ,そのうち,規模の大きな問題は実時間で厳密な最適解を求めることが困難であることが知られています.そこで,近似解(準最適解)を高速に求める解法の考案が求められています.当研究室では,特に,進化計算や群知能および量子アルゴリズムによる最適化・組合せ探索,分散並列処理,画像処理,認識・認証について研究をしています.

やさしいコンピュータ

  • 近年の技術の進歩により,コンピュータは高速化・高性能化しました.しかしながら,例えばテレビのように老若男女が容易に使用し楽しむことができる家電と比較した場合,ヒューマンインタフェースの観点からは,未だ改善の余地が多々残されています.当研究室では,特に,人間同士の意思や感情の情報伝達方法と同じような方法で,人間とコンピュータとが情報を伝達できるようなヒューマンインタフェース(実世界指向インタフェース)について研究をしています.



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教育・研究体制

  • 飯村研究室では,人間とコンピュータとが豊かに共存し安心できる便利な社会の実現に求められる様々な研究課題から,学生自らが興味を持って打ち込めるテーマを教員とのミーティングをもとに設定し,研究活動に励んでもらうことで,学生の問題発見能力と問題解決能力の向上を目指しています.自らの考えを的確に相手に伝えるプレゼンテーション力の向上にも力を入れています.また,PBL(Project-Based Learning)も積極的に取り入れています.研究室で生まれた成果は,国内外の学会での研究発表や学術論文誌への投稿などの形で,積極的に公開しています.飯村研究室での研究活動を通して,社会で必要とされる力(問題発見能力や問題解決能力,プレゼンテーション力など)を身につけてもらいたいと思います.
  • なお,飯村研究室は,大学(学部)教育・研究については,総合管理学部総合管理学科・情報管理コースに所属します.大学院(研究科)教育・研究については,博士前期課程はアドミニストレーション研究科アドミニストレーション専攻・情報管理コースに,博士後期課程はアドミニストレーション研究科アドミニストレーション専攻・情報領域に所属します.

研究内容紹介(一部をご紹介します)

アリの群知能Ⅰ

swarm_intelligence_ant_1.jpg社会性昆虫であるアリの群れによる知的な採餌活動をモデル化し,コンピュータ上でシミュレーションを行うことで,難しい問題を解く方法を研究しています.個々のアリは極めて単純に動くだけであっても,アリ同士の間に簡単な相互作用を持たせることで,集団として驚くような挙動を示し,大規模で複雑な問題を効率的に解くことができます.各アリのフェロモン追随性に個性を持たせた個性アリ戦略や,女王アリ戦略という多集団型のモデルを提案し,巡回セールスマン問題,グラフ彩色問題,0-1整数計画問題において,より品質の高い解を発見できることを確認しています.さらに,各アリにランダムウォークを導入したモデルを提案し,二次割り当て問題において,より品質の高い解を発見できることを確認しています.


アリの群知能Ⅱ

swarm_intelligence_ant_2.jpgアリの群生で観測される死骸や幼虫を大小に分類する行動をモデル化し,コンピュータ上でシミュレーションを行うことで,情報(データ)を分類する方法を研究しています.ランダムに動くアリによって発見されたデータは必ず拾われ,運ばれて,そして類似データに出会うと持っているデータを必ず落とすという極めて単純な行動ルールの単純Ant-based Clustering戦略というモデルを提案し,クラスタリングが可能であることを確認しています.


ミツバチの群知能

swarm_intelligence_bee.jpg社会性昆虫であるミツバチの群れによる知的な採餌行動をモデル化し,コンピュータ上でシミュレーションを行うことで,難しい(NP困難な)問題を解く方法を研究しています.Artificial Bee Colony(ABC)アルゴリズムは,100次元までの関数を対象とした最適化問題において,同じく群知能の一種であるParticle Swarm Optimization(PSO)アルゴリズムに比べ,最適化の対象となる関数の特徴に大きく左右されることなく,次元数の増加に対してロバスト(robust)であることを確認しています.


量子ビットを模倣した進化計算

quantum_inspired_evolutionary_algorithm.jpg古典的ビットの代わりに,量子ビットを遺伝子として用いる進化計算の方法であるQuantum-inspired Evolutionary Algorithm(QEA)を研究しています.対交換という操作を提案することで,オリジナルのQEAで調整が必要であったパラメータを不要としつつ探索性能の改善に成功しています.現在は,量子ビット表現に基づく整数型遺伝子の表現法について研究を進めています.


量子もつれ状態を模倣した昆虫(アリ)の協調行動

quantum_cooperation.jpg量子もつれ状態を模倣した二匹の量子風アリは,小石を押すというタスクに対して協調的な振る舞いを示し,もつれていない独立した二匹の古典的アリに比べて,小石を二倍遠くに押すことができます.二匹のアリの力に差を設け,コンピュータ上でシミュレーションを行うことで,競争的社会における二匹の協力関係に関する最適モデル化の研究をしています.力の強いアリが有利な競争的社会を考えた場合,二匹のアリの脳は均質がよく,二匹のアリの力は不均質(異質)がよいことが認められ,集合的意思決定の考え方と似た結果となることを確認しています.


干渉交叉を用いた進化計算

interference_crossover.jpg量子系の干渉効果を模擬した干渉交叉と呼ばれる手法を従来の遺伝的アルゴリズム(古典的GA)の遺伝的オペレータに組み込んだ量子風遺伝的アルゴリズム(量子風GA)に関する研究を行っています.量子風GAは,最適解発見率および平均探索世代数の観点で,古典的GAに比べ優れた性能を持つことを,巡回セールスマン問題を対象とした実験で確認しています.


進化計算を用いた画像領域探索

plural_image_areas_searching.jpg脊椎動物の持つ獲得免疫の仕組みを参考にした最適化問題を解く方法である免疫アルゴリズム(Immune Algorithm: IA)を研究しています.IAは,大局的最適解を含む複数の局所的最適解が探索できるという特徴があります.IAを複数画像領域探索問題に適用し,カレンダー画像を対象とした実験では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)に免疫度を導入した免疫システム型GAによる従来の場合と比べ,より少ない平均探索時間で同等以上の探索成功率が得られることを確認しています.


加速度センサを用いたジェスチャ認識

gesture_recognition_kasumi_higashi.jpgノンバーバルコミュニケーションであるジェスチャにおいて,人間の意思や感情は,手などの位置よりもむしろ身体に加えられた力に顕著に現れると言われています.運動中に働く力は加速度によって検出できることから,任天堂㈱のWiiリモコンに搭載されている加速度センサを用いてジェスチャの認識を研究しています.階層型ニューラルネットワークの入力値に単なる正規化された加速度の順列を用いることで,特定演者のみならず不特定演者に対しても高い認識率を示すことを確認しています.


加速度センサを用いた感情識別

emotion_recognition_maiko_yamamoto.jpg人間の感情の視知覚に関する研究は,これまで因習的に顔に表現された感情,つまり顔の表情にフォーカスを当ててきました.近年では,感情的なボディーランゲージ,すなわちポーズや動作を通しての感情表現に着目した研究があり,人間の歩行動作やポーズから感情の識別が可能であることが報告されています.歩行動作を対象とした先行研究の多くは,モーションキャプチャシステムを用いていますが,将来的には,人間の全身に渡る動作を計測する為に,センサを内蔵した着衣型のセンサスーツを着るようになるでしょう.この点を踏まえ,任天堂㈱のWiiリモコンに搭載されている加速度センサを用いて,歩行動作で表現された感情の識別を研究しています.上腕,腰,そして下腿に加速度センサを装着することで,加速度センサのみで,歩行動作で表現された感情の識別ができることを確認しています.

赤外線センサを用いたヘッドトラッキング

head _tracking.jpg任天堂㈱のWiiリモコンに搭載されている赤外線センサを用いてヘッドトラッキングの研究をしています.マルチモニタ表示環境における作業再開時に,マウスポインタを見失うことによる煩わしさやそれによる作業効率の低下を感じることがよくあると思います.マウスポインタは通常視線方向(顔の正面)にあるべきことに着目し,頭部の動きに追随してマウスポインタを制御することで,作業再開時におけるマウスポインタの発見支援が可能となります.


植物インタフェース

living_plants_interface.jpg植物をコンピュータシステムの一モジュールとして取り入れ,植物と人間とのコミュニケーションを実現する新しいコミュニケーション・インタフェースの研究をしています.主に,日常生活の中での継続的な栽培行為を通じて,人と自然または人と人の新しい気付きやコミュニケーションの創出,そして植物の生態的側面の可視化を目的としています.現在はその手始めとして,光センサ,湿温度センサ,赤外線センサ,そしてフルカラーLEDを用いて,観葉植物の生態的側面の可視化に取り組んでいます.


デジタルミュージックベル

digital_musicbell.jpgミュージックベルは教育楽器としても注目され,幼稚園や小学校での発表会でしばしば用いられています.しかしながら,その性質上,一つのミュージックベルが奏でる音は一種類であり,音域の広さによっては多くのリンガーが必要となり,リンガーの人数は演奏できる曲の制約条件の一つになっています.この点を踏まえ,任天堂㈱のWiiリモコンを複数の音を奏でることができるミュージックベルと見立てたデジタルミュージックベルの研究に取り組んでいます.