安田公寛客員教授による特別講義を開催しました
安田公寛客員教授による特別講義を開催しました
平成28年11月9日(水)、本学客員教授であり前天草市長の安田公寛先生をお招きし、特別講義を行っていただきました。
冒頭、総合管理学部の澤田准教授から講師紹介があった後、安田先生が登壇され、「市町村行政の役割」と題してお話をいただきました。
まず初めに、市町村行政の役割として安田先生が心掛けておられた、市民の皆さんの安心、安全を確保し、生命財産を守ること、福祉向上と豊かな生活実現のために行政を執行すること、民主主義の学校(地方自治は民主主義の最良の学校:ジェームス・プライス)について触れられ、実際に天草市のリーダーとして、災害への備えや市民の幸福量の最大化、民主的な市政運営ができているのか考えながら、様々な施策を展開してきたとのお話がありました。
次に、「天草市の事例」をテーマに、2市8町による合併のお話がありました。合併の背景として、道路が整備され、自動車が普及したことによる生活圏の拡大や住民ニーズの多様化、高度化に対応すべく、生活圏に合った行政組織の形成、行政基盤の強化が必要であったこと、地方分権一括法の施行により、国と地方の役割分担が明確化され、地方公共団体の自主性・自立性を高めることが求められたこと、進行する少子・高齢社会への対応、国が財政逼迫を理由に断行した構造改革、行財政改革、特に、国庫補助負担金の廃止、税財源の移譲、地方交付税の一体的見直しによる三位一体の改革が地方の財政状況を逼迫させ、合併を進める大きな要因になったとのお話がありました。
次に、「天草市の概要」をテーマに、現在の天草市の現状や課題についてお話がありました。天草市の人口減少のメカニズムや、高齢化率の上昇、第1次、第2次産業就労者の減少の状況について、具体的なデータをもとに丁寧にお話をいただきました。
次に、「天草市づくりの主要施策」をテーマに、天草市が抱える課題に対応すべく取り組まれた主要施策についてお話がありました。「地域を担う人づくり」では、市民と行政の協働により、まちづくり協議会や地区振興会を中心としたコミュニティ活動を推進されたこと、県内外の大学との包括協定を結び、起業支援や観光振興のために連携した取組みを行われたこと、学校教育のレベル向上のために各学級に補助教員を配置し、実質的な少人数教育を実現できたことで子どもたちの学力が県の平均を大きく上回るようなレベルにまでなったことについてお話がありました。
「快適な生活環境づくり」では、保健・医療・福祉サービス等の充実を図る取組みにより、2012年の東洋経済のランキングで、安心・安全な街-全国4位、子育てしやすい街-全国6位となったこと、キリシタン関連遺産の世界遺産登録に向けた取組みなどについてお話をされました。「機能的な社会基盤づくり」や「豊かな産業づくり」の分野では、幹線道路の整備促進や特産品開発、起業・創業に向けた支援、「魅力ある観光地づくり」では修学旅行の受入れ等の取組みについてお話をいただきました。
また、行政運営においては100年後も通用するような構想を持ち、行政情報を積極的に公開することが大事であり、天草市は基本理念として、「日本の宝島 天草の創造」を掲げて、住民と行政が一体となって、地域を磨き上げ、誰もが誇りに思い、安心して心豊かに暮らせる安らぎの空間を創ることを目指しているとのお話がありました。
結びとして、学生たちに、「市町村は市民に最も身近なところにある。市町村がどんなことをしているのかしっかり見て、より良いまちづくりのために、市政に積極的に参加していただきたい。」との言葉をいただき、大変充実した講義となりました。
本件に関する問い合わせ先
熊本県立大学 事務局 教務入試課教務班
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