- Excelの基礎として、グラフ作成について基本編と応用編に分けて演習していく。既に用意されているデータを、既存のグラフツールのみで作成する基本的演習から、データ群を加工した後にそれをグラフ化によって可視化する応用編までを演習で行う。また、データベース操作の方法についてもこここで扱う。
1.グラフの作成(基礎編)
【目的】 グラフには、棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・3Dグラフなどが10種類以上存在する。ここでは,前回作成した成績順位表のデータを使ってグラフの作成方法をを学習する。
グラフの構成要素と名称をもっともメジャーな縦の棒グラフを使って説明したいと思う。この下の図のグラフは皆さんがここまで作ってきた成績順位表をもとに作った例である。
各部には図のような名称がついていて、それぞれに対応するメニューが用意されており、名称が表示されるところでマウスの右ボタンをクリックすれば、必要なメニューが表示される。各部分の色などの書式を変更したいときは、そのメニューにある「書式設定」を選ぶとよい。
では、さっそくグラフを作ってみよう。
グラフは、【挿入】リボンの【グラフ】コマンドを利用して作成する。これを使えば、棒グラフ以外のグラフや、違った感じのレイアウトのグラフなどが自由自在に作れるようになる。まずは、先ほどの成績順位表を使用して下図に示す簡単な棒グラフを作ってみよう。
<グラフサンプル>
<作成条件>
- 荒木大介、井上千恵、内田和夫の三人の5教科の得点をグラフに表す。
- 数値軸ラベルは点数、項目ラベルは教科にする。
- タイトルは「成績グラフ」、凡例はそれぞれの氏名にすること。
<棒グラフ作成の手順>
①グラフ化するセルの範囲を選択する。
(作りたいグラフによってはデータが一続きに並んでいるとは限らないので、その選択するセル範囲は必ずしも一緒である必要はない。そのような時は「Ctrl+ドラッグ(クリック)」を使って選択していく。)
②【挿入】リボン-【グラフ】の中から,【縦棒】コマンドをクリックする。画面のように【2-D】グラフを選択する。
③セルの範囲が色別に区分けされ,グラフがシートの中に挿入される。
簡単なグラフの挿入を行ったが,グラフをより詳細にするための修飾を行う方法を説明する。
グラフを修飾する場合,はじめにグラフを選択して【グラフツール】を表示させる。【グラフツール】には,【デザイン】,【レイアウト】,【書式】の各リボンが用意されている。
【デザイン】リボン
このリボンには,グラフの種類を変更するためのコマンドや,グラフのレイアウト,スタイルなどを変更するための各コマンドが用意されている。
【レイアウト】リボン
このリボンには,グラフへのラベルの挿入や軸,目盛線,背景などを装飾するための各コマンドが用意されている。
【書式】リボン
グラフの各項目の図形スタイルや文字スタイル,配置など,各書式を変更するためのコマンドが用意されている。
これまで,説明をおこなった各コマンドを用いて,グラフを修飾する。まず,グラフにグラフタイトルや軸ラベルを挿入する方法を説明する。
①【グラフツール】-【デザイン】の【グラフのレイアウト】に用意されている,【▼】ボタンをクリックする。
②数種類のグラフレイアウトが表示されるので,下の図のレイアウトを選択する。
③レイアウトを選択すると,グラフタイトルと軸ラベルが挿入される。このグラフタイトルと,軸ラベルをクリックして,次のように編集する。
④編集が済んだら,【数値軸(縦軸)】の値を変更する。グラフの【数値軸】をクリックして,選択状態にする。その後,【レイアウト】リボンの【選択対象の書式設定】コマンドをクリックする。
⑤【軸の書式設定】ウィンドウが表示されるので,【軸のオプション】中の【最大値】を【固定】にし,数値を【100】とする。
その後,【閉じる】ボタンをクリックすると数値軸の値が0~100に変更される。
⑥最後に,データラベルを挿入する方法を説明する。【グラフツール】-【レイアウト】の【データラベル】コマンドをクリックするとデータラベルの種類が表示されるので,【外側】をクリックする。
棒グラフの上部にデータラベルが表示されれば,グラフの完成となる。
円グラフは全体のうち、どのくらいの割合を占めているかを見るのにとてもわかりやすい。棒グラフと同じようにグラフウィザードを使用する。円グラフを作成しよう!
<グラフサンプル>
<条件>
- 今回のグラフには、荒木大介のデータを使用する。
<円グラフ作成の手順>
①まず、円グラフに使用するデータの範囲を指定する。そして、【挿入】リボンの【グラフ】-【円】をクリックする。はじめのやり方はどのグラフでもだいたい同じである。
②円グラフの種類が表示されるので,下記図のように【2-D 円】をクリックする。
初期の円グラフが表示される。
③次に,グラフにタイトルなどを挿入する。【グラフツール】-【デザイン】リボンを選択する。【グラフのレイアウト】グループにある【▼】ボタンをクリックする。
④幾つかのレイアウトが表示されるので,下記の図に示すレイアウトを選択する。
円グラフの内側にパーセンテージが表示される。
④次にデータラベルの位置を変更するために,【グラフツール】-【レイアウト】リボンを選択する。
⑤【レイアウト】リボン内にある【データラベル】コマンドをクリックすると,データラベルの種類が表示されるので,下記の図のように【外部】をクリックする。
円グラフの外側にラベルが表示される。
⑥ラベルに,【分類名】と【値】を表示するためにラベルの一か所をクリックし選択する。(下記の図で選択しているもの以外のラベルを選択しても同じ結果となる。)
⑦【グラフツール】-【レイアウト】の【選択対象の書式設定】コマンドをクリックする。
⑧【データラベルの書式設定】ウィンドウが表示されるので,【ラベルオプション】の中の【分類名】と【値】にチェックを入れて【閉じる】ボタンをクリックする。
下の図に示すようなグラフが完成する。
2.グラフの作成(応用編)
【目的】 前回は基本的なグラフの作成として、棒グラフ・円グラフを作成した。グラフ化のスキルをさらに優れたものにするために、ここでは前回より少し高度なグラフの作成に挑むことにする。
二軸グラフとは、大きさがかなり異なるデータを同一グラフ上で表示するのに使われる。一般的には、棒グラフと折れ線グラフの組み合わせのものが多い。今回は棒グラフで教科の平均点を、折れ線で標準偏差を表示させることにする。
以下のグラフを作成していく。
<作成条件>
- グラフのタイトルは「教科毎の平均点と標準偏差」
- 左側の数値軸は「平均点」、右側は「標準偏差値」としそれぞれ文字を縦置きに配置すること。
- 凡例は下部につける。
<手順>
①はじめに,1行目ならびに23行目と26行目を選択する。このとき,【Ctrl】キーを押しながら選択すると,複数行を選択することができる。
②複数行を選択した状態で,縦棒グラフを作成する。
最初は最も基本的なグラフが表示される。
③標準偏差のグラフを折れ線グラフに変更するため,はじめに標準偏差のグラフをクリックする。このとき,図に示す社会以外の教科のグラフをクリックしても同様の結果となる。
④次に,【グラフツール】-【デザイン】リボンの【グラフの種類の変更】コマンドをクリックする。
⑤【グラフの種類の変更】ウィンドウが表示されるので,【折れ線】の中の図に表示しているグラフの種類を選択し,【OK】ボタンをクリックする。
下の図に示すように,棒グラフから折れ線グラフにグラフの種類が変更される。
⑥次に,折れ線グラフ専用の数値軸(縦軸)を表示する。図のように折れ線グラフを選択する。
⑦折れ線グラフを選択した状態で,【グラフツール】-【レイアウト】リボンの【選択対象の書式設定】コマンドをクリックする。
⑧【データ系列の書式設定】ウィンドウが表示されるので,【系列のオプション】から【第2軸(上/右側)】をチェックして,【閉じる】ボタンをクリックする。
下の図に示すように,グラフ中に第2軸が追加される。
⑨次に,基礎編で説明した方法とは別に,軸ラベルを追加する方法を説明する。
グラフを選択した状態で,【グラフツール】-【レイアウト】リボンを表示し,【軸ラベル】-【主横軸ラベル】-【軸ラベルを軸の下に配置】の順に選択していく。
下の図に示すように,グラフの下に項目軸ラベルが挿入される。
<練習>
残りの各軸ラベルとグラフタイトルを挿入する。さらに,【凡例】をグラフの下に挿入せよ。
3Dグラフを作る。3Dグラフは、二次元を三次元にすることによっていくつかの複雑なグラフを見やすくすることができる。成績順位表を使って、標準偏差・最低点・平均点・最高点を教科別にグラフ化する。
<作成条件>
- グラフの棒の順は手前のほうが小さなものになるようにする。
- 色もきちんと見やすいように設定すること。
<手順>
①範囲を選択してグラフを作成する。今回指定する範囲は、科目名のところ(B1:G1)と、各教科の平均・最低点・最高点・標準偏差(B24:G27)である。
②通常の棒グラフと同様にグラフを挿入する。その際,下の図に示すような【円柱】グラフを選択する。
③挿入直後の時点では,「平均・最高点・最低点・標準偏差」の各項目軸がすべて表示されていないので,グラフエリアを広げてすべての項目が表示されるように調整する。
調整すると,下記の図のようにすべての項目が表示される。
④次に,グラフ中のすべての棒グラフが表示されるように,グラフの順序を入れ替える。
グラフを選択した状態で,【グラフツール】-【デザイン】リボンの【データの選択】コマンドをクリックする。
⑤【データソースの選択】ウィンドウが表示されるので,下記の部分を使ってグラフの順序を入れ替える。
⑥例えば,【平均】を選択している状態で下矢印のボタンをクリックすると,【平均】の項目が1個下に移動する。
⑦この操作を繰り返して,下の図のように順番を並び替える。
並び替えが終了したら,最後に【OK】ボタンをクリックする。下の図のようにグラフの順序が入れ替わる。
最後に,グラフタイトルを挿入すると完成となる。
3.簡易データベース
【目的】 Excelには便利なデータベース操作ツールがあり、今回はその中で「並べ替え」「フィルタ」ツールについて学ぶ。これらは、データベース機能の基本中の基本であるが、基本であるゆえにデータの整理などえ強力なツールとなる。
データベースで使用する用語
○フィールド:データベースを構成する一つひとつの列のことをフィールドと呼ぶ。
○フィールド名:各フィールドの1行目のセルに書いてあるフィールドのタイトルのこと。
○レコード:データベースの1行分のデータ全体のこと。
並べ替え機能はその名の通り、数値・番号・名称などを順に並べて表示するものである。かな・アルファベット・数値を並べ替えられることができる。
ツールバーに「並べ替え」のボタンがあるが、今回は、より使いやすい方のやり方を紹介する。
<演習>
前回から作成している成績順位表のデータを、順位どおりに1位から20位まで上から順に表示させる操作をやってみよう。
<手順>
①並べ替えをおこないたいデータベースのどこかにポインタをおく。範囲全体を選択する必要はない。
その後,【ホーム】リボンの【並べ替えとフィルタ】コマンドをクリックする。
②メニューが表示されるので,【ユーザー設定の並べ替え】を選択する。
③【並べ替え】ウィンドウが表示されるので,【優先されるキー】の下矢印をクリックして並べ替えを行いたい「フィールド」を選び、「昇順」「降順」のどちらかを選択する。
「最優先されるキー」で「合計点」と設定するとそれをもとに並べ替えが行われるが、合計点が同じ人が複数いる場合は当然ある。そういった人達の順序を決めるのが2番目・3番目に優先されるキーである。上位のキーで並べ替えて同じに順位のものは、下位のキーに従って順次並べ替えが行われる。
キーは,幾つも追加することができる。
④最後に,選択し終わったら、「OK」を押すと並べ替えが行われる。
フィルタとは、ある条件のに適合するレコードのみ抽出するツールである。与えた条件に合うレコードだけが画面上に表示される。
(注)条件に合わないレコードは「消去」されたわけではなく、ただ単に「非表示」となって隠されているである。なのですぐに元の状態に戻せるので安心してよい。
それでは、さっそくフィルタ機能でデータベースを操作してみよう。
演習(1) 国語の点数が上位5位の学生のみを表示する。
手順
①並べ替えと同様にフィルタにかけたいデータベースのどこかにポインタをおき、その後,【ホーム】リボンの【並べ替えとフィルタ】コマンドをクリックする。
②メニューが表示されるので,【フィルタ】メニューをクリックする。
③1行目の各セルの右側に【▼】ボタンが表示されているのが確認できる。
④この演習の場合は、「国語」フィールドにあるボタンをクリックし、「トップテン」を選択する。
※このとき、下にズラリと並んだ点数を選択すれば、その点数だけのデータが表示される。また、気づくとは思うが、ここの項目にも「昇順」「降順」があるので、並べ替えの機能も果たしてくれる。
⑤メニューの中から,【数値フィルタ】→【トップテン】メニューを選択していく。
⑥下のようなダイアログボックスが現われたら、赤の部分で様々な条件を選んで組み合わせていく。
⑦「OK」を押すと、抽出される。
演習(2) 合計点が300点以上350点以内の学生を抽出する。
①上記演習と同様に、フィルタにかけたいデータベースのどこかにポインタをおき、その後に「フィルタ」を有効にする。
②次に、合計点フィールドのボタンをクリックして、その中の「ユーザー設定フィルタ」を選択する。
③下のダイアログボックスが現われるので、そこに抽出したい条件を設定する。
④「OK」を押すと、条件に合ったレコードが抽出されるはずである。
4.その他の機能
【目的】 ここではExcelデータを印刷するときに知っておくと便利なことを紹介する。
ワークシートを印刷するときは、「印刷プレビュー」で印刷内容を確認した方がよい。この機能を使うと、印刷プレビュー状態で、プリントアウトした結果がどのようになるかを確かめながら設定を行うことができる。
また、プレビューしたときに自分の思うような形でないときは、「改ページプレビュー」で設定していく。今回は、現在作成中の成績順位表のSheet1をプリントアウトして演習を行う。
<演習> 次のように印刷する演習を行おう。
<罫線を引く>
セルの周囲のグレーのラインは、印刷されない。このため、ラインを印刷しようと思ったら罫線を引いておく必要がある。罫線の引き方には、いくつか方法がある。
①罫線を引きたい範囲を指定してから、【ホーム】リボン中にある「罫線」ボタンをクリックして作業する。
下記に示すような様々な罫線を引くためのメニューが用意されている。
②ツールバーの「罫線」の中の、「罫線の作成」を選択して、マウスで描いていく。
③もうひとつの罫線の引き方として,罫線を引きたい範囲を選択し、【ホーム】リボンの【罫線】の中から、【その他の罫線】メニューをクリックする。
④【セルの書式設定】ウィンドウが表示されるので,必要な罫線を引く作業をおこなう。
<印刷の手順>
①「表示」リボンの「改ページプレビュー」を選択。
②次の画面のように,印刷される範囲が表示される。このとき,【青色の実線】は印刷される全ての範囲をしめしており,【青色の破線】はページの区切りを示している。
この実習では,図に示すように表とグラフを1ページに集約することとする。【青色の破線】上にマウスカーソルを合わせドラッグすると,線を移動することができるので,1ページに入るように線を調整する。
調整した結果を下の図に示す。
③実際に印刷をする場合は,画面左上の【Officeボタン】をクリックし,【印刷】メニューの右側-【印刷プレビュー】の順に選択する。
④印刷プレビューが表示されるので,問題が無ければ【印刷】ボタンをクリックし,印刷が1ページ以上になるようであれば,【印刷プレビューを閉じる】ボタンをクリックして印刷領域の調整を行った後に,再度プレビューを行う。