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同志社大学 村田晃嗣先生の特別講義を実施しました

令和4年(2022年)6月13日、本学客員教授で国際政治学者の村田晃嗣先生(同志社大学法学部教授)による特別講義「ウクライナ情勢と日米関係」を開講しました。

あくまで村田先生ご自身の個人的な意見、見解であるとの前置きをされたうえで、ソ連解体からこれまでのロシアの歴史、侵攻前のアメリカ、ウクライナ、中国との関係なども踏まえたロシアのウクライナ侵攻の原因、2月24日に侵攻が行われた理由についての考察をご説明いただきました。

ウクライナ侵攻の今後については「侵略は、国際法の違反行為であり、許されていいものではないため、現在、諸外国から経済制裁が課されている。終結に向けて、経済封鎖解除の時期について、話し合いが行われるだろうが、国ごとにロシア、ウクライナとの関係が異なっているため各国の意見がなかなか一致しないと思われる。」との見解をのべられました。

また、日本については、一方の当事国であるロシアとは隣国関係であり、領土問題を抱えていることから、日本人は潜在的に高い関心を持ちがちであること、日本とロシアの間には複雑な関係と歴史があることも併せて説明されました。

村田先生は、外交政策、特にアメリカの東アジア政策とその決定過程を研究しておられますが、現在のアメリカの国内世論がロシアへの軍事介入を許さないであろうこと、それによってバイデン政権下では武力行使に踏み切ることが困難となっていることが、ロシアのウクライナ侵攻の予想以上の長期化に大きく影響していることを述べられました。

その一方で「戦争は必ず終わるもの」であることに着目し、ウクライナ侵攻の終結に向けてこれから起こるであろう事柄の一つとして、戦争難民の受け入れをめぐる問題の発生があり、受け入れた国に起こる大きな変化について説明されました。当初は、難民には同情が集まるものの、いずれ難民は安い労働力として受入国の労働市場を変えてしまうため、賃金・失業など労働環境をめぐる反難民の感情が必ず生じてしまうというこれまでの歴史を踏まえた問題提起をされました。

加えて先生は、難民の受入率の高いポーランド、人口増のピークが去った中国、世界の人口を席巻するインド、首相交代のドイツ、フランス、ブラジルの経済発展など様々な要因が絡む国際政治を「一寸先は闇」と表現されたうえで、スケジュールを知っている(長期的な展望を持つ)ことは大切であり、政治的な判断にとどまらず、すべての意思決定において、将来を見据えた的確な判断を行うために必要な要素であると語られました。

最後に受講学生との質疑応答にも対応いただき、「反実仮想という、『もし〇〇だったら』という仮定は政治ではありえないけれど、それを考えていくことは非常に大切である。」と助言をいただきました。学生からは「これまで表面しか見ていなかったニュースだが別の見方があることを知った」という意見や「国際政治に興味を持つことができた。」「戦争には終わりがあるが、人の感情には終わりがなく、感情のうねりの中で、政治は絶えず動いていくもの」という感想が寄せられました。

この特別講義は、全学共通科目遠隔授業「現代社会と政治」の受講生109名に公開されるととともに、対面受講を希望した学生が受講しました。

お問い合わせ先

事務局 教務入試課教務班

FAX:096-383-2364