ボツワナ便りVol.1
環境共生学研究科 博士前期課程
五島岳春
現在、JICA 海外協力隊の環境教育隊員として、ボツワナの北西部にある地方行政機関(県庁に相当)にて活動をしています。今後は、小学校や地域コミュニティーを巡回し、ごみ分別などの授業を通して環境意識の向上に努めます。
【ボツワナについて】
ボツワナは、日本の約1.5倍の国土を持つアフリカ南部の内陸国です。日本と比べて人口は少なく、約250万人が暮らしています。ダイヤモンドなどの鉱物資源が豊富で、野生動物が多く生息する自然豊かな国としても知られています。首都はハボロネで、公用語は英語ですが、ボツワナ人同士では現地語のツワナ語が話されています。
【高度グローバル人材育成プログラムに参加した動機】
高校のボランティア部の顧問をしていた父の影響で、幼いころから海外協力や環境問題について関心がありました。高校の海外研修でマレーシアのJICA事務所に訪問した際、自分でも海外協力ができるのではないかと思ったのが最初のきっかけです。そして大学で環境問題を学ぶ中で、自分の知識や経験はどれだけ人に貢献でき、どの程度不足しているのか確かめたくなりました。また、私は将来研究者になり途上国の環境問題を調査して研究の側面から海外協力を続けたいと考えています。そのため、まずは途上国の環境問題を実際に知りたいと思い、本プログラムの参加を決めました。
【日本での派遣前訓練(2026/4/21~7/2)】
ボツワナへの赴任前には福島県で73日間の派遣前訓練があり、30か国に派遣予定の137人と生活を共にしました。訓練所の一日は、6時30分に起床し7時に朝食をとった後、8時からある朝の集いで各国の国旗掲揚やラジオ体操を行います。8時45分から15時までの約5時間語学訓練(ボツワナは英語)を行い、18時まで海外協力の方法や安全対策などを学びます。夕食後は自由時間で、語学の予習復習や体育館で仲間とスポーツを楽しみました。週末は福島ならではの日本酒を堪能したり、安達太良山(あだたらさん)に登ったり、近くの温泉街を楽しんだりしました。そして訓練終盤には語学の最終試験があり、不合格になれば派遣中止になってしまいます。一見厳しいですが、この試験の合格基準は任地で生活するために必要な語学力のラインとなっています。このため、皆必死にお互い励まし合いながら勉強を頑張りました。
今回、22歳から69歳までの様々なバックグラウンドを持った人々と時間を共にする中で人生観が変わる経験が多々ありました。その一例をご紹介します。訓練生主体の講座で人生の先輩からお話を聞こうというものがありました。この中で、63歳の訓練生が協力隊に応募した決め手を「これまでやらなかったことをやる」と説明していました。この言葉を聞いて過去の自分を振り返ると、羞恥心や虚栄心などの不要な感情が働き、躊躇ったがゆえに得られなかった経験や繋がりがあったことに気づきました。この言葉は、迷いや不安を抱えている自分の背中を押してくれるように感じます。これからの人生で大切にしたい言葉です。
この訓練生活は楽しいことも多かった反面、辛いこともあり喜怒哀楽に満ちた日々でした。その中でも仲間と助け合いながら困難を乗り越えた経験は代えがたい絆に変わり、退所日には2年後(日本に帰国後)に「また集まろう!」と涙ながらに言い合いました。語学はもちろん人生観の変化や自分自身の成長も感じられる濃密な73日間となりました。


一人部屋です

模擬授業を行っています

壁一面の寄せ書きが
訓練の歴史を感じます

他愛のない会話が思い出です

班のみんなとベリーダンス
を踊りました
【赴任の第一印象(2026/8/4~)】
ボツワナまでは成田空港から、タイ、エチオピアを経由し、約26時間かけて到着しました。最初の1か月は首都のハボロネに滞在し、日本大使館や省庁への表敬訪問、3週間の現地語学習を行いました。現地語のツワナ語は名詞によって後に続く語が変わるため、慣れるまで難しかったです。覚えたツワナ語で現地の人と話すととても喜んでくれます。現地語は心の距離をぎゅっと縮める有効なツールであることを確認できました。
食べ物に関しては、トウモロコシの粉を練ったパパやお米(タイ米)を主食として、お肉とモロホという野菜料理と一緒に食べます。シンプルな味付けでどれもおいしいですが、少し塩辛かったり脂っこかったりします。
そしていよいよ、9月1日に首都から飛行機で1時間離れた赴任先に派遣されました。赴任後、様々な現場に連れて行ってもらいましたが、一番印象に残ったのが最終処分場です。ボツワナではごみの分別がされておらず、全てのごみが一か所に集まります。その中には可燃物も含まれており、最終処分場では火災が発生していました。水不足や深層の火元を消せないという理由で自然鎮火するのを待つしかなく、火災発生からすでに2週間が経っていました。この間、煙が発生して大気汚染や近隣住民の健康への影響が懸念されています。他にも、医療ごみは小型の焼却炉で処理されますが、燃料不足や機械の故障で稼働せず、山積みになったごみから感染症のリスクも考えられます。他にも環境問題が潜在しており、多くの困難を前にして「何とかしたい」と思う反面、知識もコネクションも乏しい24歳の自分に一体何ができるのか、現実を突きつけられる日となりました。派遣期間が1年と限られた中で、自分にできる事とできない事を明確にして焦らず活動計画を立てていきたいと思います。

みんな協力的で優しいです

(火災前)

(火災後)


ごみを集めているそうです

よく見かけます