日本語の熊手
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卒論題目
平成14年度卒業生
       福間 真由美 「東京は神田の生まれです」の構造

「東京は神田の生まれです」という文の構造を明らかにする。この文の構造は「大地名―小地名」という情報を、「とりたて」機能を持つ「は」で結合して表現化し、「東京は神田」という固まりを作った上で「の生まれです」というように展開するものである。「は」の働きの観点からすれば、題目提示の用法でも対比の用法でもない。しかも、「は」による「二分結合」を取らず、「東京は神田」を強調的承認する「第三」の用法ということになる。

熊本県立大学『国文研究』第49号に発表
平成15年度卒業生
       石田 希代子 「大きなり」の変遷―対象を中心に見た考察―

「大きなり」は元々連体詞的性質を強くしていた。これが現代語「大きな」へと受け継がれた。また、連用形「大きに」は本来の形容動詞の用法から意味用法を広げることで副詞化していった。
       井原 康二 「の」の汎用性について

連体助詞「の」は、もともと関係性の希薄な体言同士を、格支配のような論理とは別の「超論理的」な機能で結合する。そこでは意味的に多くの推論、解釈を可能にする事態が生じる。また、このことが「の」の汎用性の高さとなっている。
       眞岡 亮平 副詞における強調〜「まさに」〜を中心として〜

副詞「まさに」は、認識のモダリティと深く関わり、「判断」「評価」「可能性、必然性の認識」「観察結果の表明」 「比況」の文で付加されることが多く、また付加することができる。 しかし、「当然性の認識」「事態の推移の予想」には付加されにくい。従って「まさに」は主観的判断や信念を間違いのないものだと確信的扱う表現であると考えられる。
       廣瀬 麻矢 係助詞「も」の本質

「も」の本質を「累加」の働きを表す意味的要素と「取り立て」を表す機能的要素の二面性で捉える。「共感」「達成」「感動」等とされる用法は、「も」構文全体の意味を「も」の用法と理解したものであり、それらは「も」が潜在的に持つ強調の役割から拡大解釈されたものと考えられる。

熊本県立大学『国文研究』第50号に発表
       田上 仁美 「もてあそぶの意味」

「もてあそぶ」の史的観察から概して次の3点があがる。
@ 日常性の低い言葉である。
A 上代・中古では良くも悪くもない意味か、良い意味で使われるが、中世に入って目的語が多様化すると悪い意味が派生する。
B 「道をもてあそぶ」という表現の存在からすれば、従来の辞書の意味記述にはない「専心する」のような意味記述が必要である。
平成16年度卒業生
       岩屋 龍太郎 構成素「おく」の研究

構成素「おく」の働きは「前項動詞の行為の結果を状態化し、その結果の状態をある時点まで持続させておく」であり、これは本動詞「おく」の意味特徴と大きく関わる。
       川俣 沙織 呼称「転位文」不要論-「鳥がペットだ」を端緒として-

問い回答」の構造を持つ「は」構文に対し、問いと回答が逆転した「回答問い」の構造を持つ「が」構文-所謂「転位文」-の構造について再考し、結果、「転位文」という呼称を不要と結論づけたものである。
       中野 鷹一郎 否定文における「も」の機能〜「言いもしない」をきっかけとして〜

係助詞「も」の機能は、添加・主題表示・強調の三つである。また、「も」は特質として非排他的性質を持つ。否定文「言いもしない」は、特に他の事態を前提とせず、「も」の強調機能と非排他性による強調構文である。
       古川 直弥 「を」格交替の「が」格の機能

「を」格と「が」格の交替が起こるのは、「を」格なり、「が」格に下接する語が動詞と形容詞の間の性質にあるときである。そして、その時の「を」格、「が」格の違いは、「を」格は、下接する語を中心に述べたい時に使い、「が」格は常設する語を中心に述べたい時に使われるということである。「が」格の機能としては主格と対象語格があるが、それらのどちらとはっきり言うことが出来ないものもあるので、山口明穂氏のいう「ものざね」という考えを取り入れ、その下位分類として、主格、対象語格を位置づけたい。
       緒方 雄輔 気象受動文における一考察

「気象受動文」とよばれる気象を表す受動文の枠組みを、構文法的要素と意味・語用などの周辺的要素から見直し、その本質と不要性を結論とする。
       下田 悠 「子供は寝てろ」の特異性

通常、主語に原則として二人称しか取り得ないはずの命令文が「子供は寝てろ」のように三人称を取る事が出来るのは、二人称者である事態実現者を名指し出来ない場合、若しくはしたくない場合に、三人称者として表現し、「は」の働きにより、文全体として理解可能と思われる文の構成を許容するからである。
       元田 知仁 係助詞「なむ」再考-解釈上の留意点と「なむ」の表意性-

係助詞「なむ」は、「身分上→身分下」の言葉の中にも複数存在し、しかもそれが敬意表現とは言えない内容である以上、係助詞「なむ」が敬意表現であるとは言えない。係助詞「なむ」の働きは、ほとんどが強調辞として用いられており、「取り立て」ととるのが妥当であるが、「なむ」で言いさす場合には、係り結びの性質(倒置法)上、「念押し」の効果が加味される。
解釈上の留意点については「なむ」を単に「取り立て」「念押し」の強調辞ととらえれば良く、むしろ上接語の指示内容を読みとることに重点を置くべきである。
平成17年度卒業生
       稲田 奈緒美 副詞「一体」の歴史的変遷

副詞「一体」が、疑問を導かない形式から疑問を導く形式に交替するまでの変遷を辿る。特に、近世・近代文学に見られる疑問を導かない「一体」には、その変化の過程で、文の内容にある段階(客観的根拠の提示→主観的根拠の提示→根拠の非提示)があり、それが進行する程、副詞「一体」の「話者の主観的判断を表明する記号」としての役割がより顕著となっていく。以上のことを、近世・近代文学から採取した具体的な用例をもとに考察するものである。

熊本県立大学『国文研究』第52号に発表
       江藤 麻依 中世における人物紹介の表現形式

一般に軍記物と呼ばれる作品では、合戦場面において躍動する武士の姿や武具・馬具などの描写がなされる。中でも、武士たちによる自己顕示としての「名のり」がある。この合戦場面における「名のり」と作中で武士を紹介する記述に類似性が見られることから、その関連性を探る。また、武士以外の人物紹介についても何らかの形式が存在するかどうか、軍着物を中心に歴史物語や説話などの他ジャンルと比較し、中世における人物紹介の作中での働きを導く。
平成18年度卒業生
       井上 舞子 「なるほど」を考える

「なるほど」の歴史的変遷を辿り、考察した。現代では文頭で、感心や相槌の意味で用いられるが、「なるほど」の発生段階と見られる室町中期〜江戸初期では、「できるだけ」という意味であった。近世になって、「納得、確認」の意味になり、さらに、近代では否定の意味を強める用法が生まれた。
       加藤 亮太 自立語「すごい」について

本来、形容詞としての用法しかなかったはずの「すごい」という言葉について、現在では「すごい痛い」や「わあ、すごい!」などというような副詞的な用法がある。このような用法になった理由を、時代別に分けて考察する。結果としては、近世から現代にかけて特に意味副詞的なものが増え始め、それでも尚現代に形容詞の意味も残ったことから、「すごい」を自由度の高い言葉としている一つの要因だと言える。
       高木 理加 形容詞の主観性

一般的に客観的であるとされる属性形容詞と、主観的であるとされる感情形容詞に分けられる形容詞(ク活用・シク活用)の主観性について考察した。主に形容詞述語文が題目を持つか否かで分類し、その結果形容詞は主観的な言語であり、感情形容詞は主観性の度合いが強く、属性形容詞は主観性の度合いが弱いという結論に至った。
       平川 しほり 「草木から人間まで」の文法的考察

従来、順序助詞句「AからBまで」は「AからBまで」で表されるものが個々の要素に分離できる「集合タイプ」、表されるものが分割不可能な距離、時間などの「非集合タイプ」に分けられるとされてきた。しかし実際には「AからBまで」部分のみに着目した場合と、文全体で考えた場合とで、該当タイプが異なる例が見られる。本稿では主に「集合タイプ」「非集合タイプ」について再考する。
       槙野 仁美 翻訳から考える小泉八雲〜「は」と「が」を中心として〜

小泉八雲の『怪談』の翻訳本の「は」構文と「が」構文を述部に注目し、分析した。結果、「は」構文が多いため文章が説明的になり、中でも動詞述語文の割合が高かった。この事から『怪談』は八雲の視点で書かれた作品と言える。
平成19年度卒業生
       古賀 敦子 名詞「―さ」のはたらきとその必須条件

「青さ」「美しさ」など名詞「―さ」について、その意味、機能、派生の仕組みなどを接尾辞「さ」との関係性に焦点を当て考察する。多種多様な語基をとる「―さ」であるが、「さ」の範疇は“形容詞性”を有するもののみ(主として形容詞)であると規定し、その許容は語基の持つ程度性に左右されるものであることを述べる。

『熊本県立大学大学院文学研究科論集』第4号に発表
       佐澤 有紀 現象描写文再考

これまで、「は」構文は判断文、「が」構文は現象描写文というように主観性の程度差による見方が示されてきた。しかし、これは「は」構文を中心とした考えであり、「が」構文を主観性の程度による文の類型としてたてることは難しいということを述べた。
       中村 知恵美 助詞モの研究〜りんごはあってもみかんはない

本稿では「りんごはあってもみかんはない」などの文に見られるモの所存について論じた。結果、このモには従来言われてきたような逆接の機能は無く、「とりたて」のモであることがわかった。逆接の文と関係し易いが、モに逆接の意が内在しているのではないと結論づけた。
       南 恵理菜 助詞「な」の提唱

形容動詞の構成素で、指定の助動詞「だ」の連体形とされる「な」について、助詞と助動詞の品詞分類の観点から、これを助詞とした。また、「な」「の」と「である」を比較して、それぞれを介して下に付く語を分類して検証した。
平成20年度卒業生
       内野 樹 原因・理由の格助詞「で」「に」について

原因・理由の「で」「に」の可否は、「格助詞のゆらぎ」「原因・理由の格助詞に前接する名詞に複数の意味が内包される場合」「原因である名詞が意味的に主体に内包される名詞である場合」「『で』と『に』の交替により文意が変わる場合」等の要素によって決められる。
       川原 涼子 ことばの男女差〜熊本と福岡の比較〜

熊本と福岡では、使用する方言に違いはあるが、方言の変遷としての大まかな傾向は共通している。どちらも、関西弁・標準語の影響を受け方言色が薄まってきている。しかし、熊本では新旧共通して使用していることばが福岡よりも多いことから、熊本のほうが福岡と比べて言語変化の波が緩やかに感じられる。
       佐藤 友哉 「に」受身文と「によって」受身文の成立条件

「に」受身文と「によって」受身文、それぞれの成立に関わる諸条件を考察した。「に」受身文は、受身文の主語が、対応する能動文における行動主体のなす動作・状態にインヴォルヴしていると解釈されなければならない。ただし、インヴォルヴしている主体は対応する能動文の行為主体に従属していてはならない。「によって」受身文は、「によって」の前件が「ことがらの成立に際し依拠するところ」でなければならない。
平成21年度卒業生
       鍬本 暁 「ソウダ」の考察−いわゆる「様態」を表す「ソウダ」を中心に−

「ソウダ」の用法は「状態描写」・「予想」・「比喩」に分類される。「状態描写」と「予想」は、話題とする対象のどの部分の叙述に話し手が着眼しているかによって分化する。また、「予想」は「予測の実現性」が高いほど「状態描写」に近くなる。
       嶽 彰利 「ている」と「てある」〜先行研究における自動詞・他動詞の別による区分に関して〜

「ている」と「てある」は、文の述語となる動詞の後に接続し、その前項動詞の表す動作・状態が時間的にどの位置にあるかを補完する役割を持つ。それらの用法について、多くの先行研究では前項動詞が自動詞であるか他動詞であるかによる分類がなされてきたが、本論ではそれよりも前項動詞の意味内容が重要となることを述べる。
       樽角 直行 「ごろつく」「ごろごろする」の歴史的変遷

「ごろつく」と「ごろごろ(する)」の用例を遡って調べ、意味の変遷を辿った。結果、両者は意味的に強く影響しあいつつ、用法的に使い分けられるようになった。
       安田 梨沙 徳冨蘆花『不如帰』の記述の変化

徳冨蘆花の著書『不如帰』の初版本と、現在の岩波文庫本との比較を行い、校異を考察した。その結果、会話文はリアリティを増し、全体的には時代に沿った読みやすい文章へと変化していることが明らかになった。
       山内 泰裕 動詞「する」と「やる」について

動詞「する」と「やる」の意味・用法における両者の異同を考察した。「する」は実質的意味を持たず、機能動詞としての役割が強い。これに対して、「やる」が機能動詞として働く場合は、ヲ格の名詞の種類・動作性の有無・意志性の有無などが強く関わっている。
平成22年度卒業生
       川端 歩 疑問表現における<疑い>の程度性

疑問表現は、話し手が命題(叙述内容)をいかにとらえているかによって<疑い>の気持ちの程度に高低がある。その程度差は文末形式の違いとして現れる。本論は、文末形式による<疑い>の程度差を段階的に示したものである。

『熊本県立大学大学院文学研究科論集』第4号に発表
       鳥越 沙紀 現代日本語「こそ」と韓国語「ヤマルロ」及び、「ヤ」

日本語「こそ」とそれに対応する韓国語「ヤマルロ」「ヤ」の使用状況についての比較。「こそ」の用法内に「ヤマルロ」の用法は収まるが、「ヤ」の用法は一部収まらない。また「ヤマルロ」と「ヤ」は言い換えがきく用法と、それぞれ個別の用法がある。即ち「こそ」の用法が最も広く、「ヤマルロ」が「こそ」の用法の一部を担う。また「ヤ」は「こそ」「ヤマルロ」の用法の一部を担うが、そのほかに「は」の用法も持つ。
       原田 毅 現代語「は」についての考察

「は」の主題、対比の用法は、「は」のとりたて機能に基づいて現れるが、「は」の上接語が体言であるか、そうでないかにより、主題、対比の用法上の違いが現れるかについて論じた。
       福岡 祐子 「になる」「となる」の考察

「〜になる」「〜となる」という変化を表す表現の違いについて、先行研究をもとに、格助詞「に」「と」の用法上の違いによる観点、動詞「なる」の意味的観点、書きことばと話しことばの性質上の観点から考察する。
       前田 幸枝 「むかつく」と「むかむかする」の歴史的変遷

「いらつく」「いらいらする」のように「〜つく」「〜する」という形式を持つ語は、多く「〜する」のほうが成立が早い。しかし、用例の現れ方からすると「むかつく」「むかむかする」は「むかつく」のほうが早く成立している。用例をたどると、もともと両者は意味的な用法を別にしていたが、やがて用法的に接近して今日に至ることが確認される。
       松本 めぐみ 夏目漱石作品における並立助詞「か」のはたらき

並立助詞とされる「か」の用例調査をもとに、それらを分類し、構文的には「〜か〜か」と「〜か〜」とで受ける語句に違いがあること、そのことと意味用法上の「選択」「未決」に関係があることを論じた。
       宮下 恵 「推量の助動詞+が・と・とも」で作られる逆接の条件文

「推量の助動詞+が・と」と「推量の助動詞+とも」との交替の可否を中心に論じる。「推量の助動詞+が」と「推量の助動詞+と」は用法的に同じであるが、それらにおいて「推量の助動詞+とも」との交替の可否がどのような理由で起きるのかについて明らかにした。
平成23年度卒業生
       井上 和之 文末表現「た」の考察−「から」との関係を踏まえて−

「から」との関係を踏まえて文末表現「た」について考察した。「た」は一般的に「過去」を表すとされるが、「から」を伴うことで「完了」「存続」を表すこともあり、そのような意味的バリエーションの中で使用されていることが分かった。
       石本 圭介 助詞「まで」に関する考察

助詞「まで」に関して先行研究と照らし合わせながら考察した。「まで」には副助詞としての働きのほかに格助詞としての働きが考えられるが、それらを別の助詞とはせず、用法の違いと位置づけた。
       上村 佳織 「目玉焼きが焦げる。」は現象描写文か

料理をしている最中、少し目を離した隙にフライパンの上で焦げそうになっている目玉焼きを見て表現化された「目玉焼きが焦げる。」という文について、現象描写文か判断文かという観点から考察した。一般に現象描写文であるとされる「が」構文の中には判断文と疑われるものが存在しており、そのような文を確述タイプ・知覚タイプ・陰題タイプの3タイプに分類し、それらが判断文であると考える理由を論じた。
       邉田 沙耶 中世における副助詞「し」の研究

いわゆる強調の意とされる副助詞「し」は、中世では後続文に否定語を場合に顕著な特徴を持つ。「し」単独で否定語を伴う場合は和歌に使用され、上接語の約9割が体言相当語となる。「しも」形式で否定語を伴う場合は、上接語の9割以上が連用修飾語となる。本論では副助詞「し」が「しも」の用法を獲得することで上接語の範囲を広げ、定型化することで存在感を得たと推察する。
       松崎 成美 『源氏物語』における主格用法の格助詞「が」

古文では主格に必ずしも「が」を必要としない。本論は、『源氏物語」における主格助詞「が」を調査し、主格「が」が使用される理由について述べたものである。主格「が」は意味的機能を持たず、格表示のみに働いていると考えられる。
       松野 愛 並立助詞「とか」と「やら」の比較

並立助詞「とか」と「やら」を比較し、構文的機能と意味的機能の違いを調べた。ともに体言相当句となるが、「とか」は例示的列挙を特徴とし、「やら」は例示的列挙のほかに、不確かさを表す傾向がうかがわれた。
       三上 法子 『ちびまる子ちゃん』の会話−人物像と文末詞−

『ちびまる子ちゃん』の登場人物の文末詞と人物像の関係を考察することで、登場人物の発話の文末詞と人物像が少なからず結びついていることが分かった。すなわち、文末詞には人物の性質がにじみ出ると認識される。
       吉谷 光平 「にも」の考察

「にも」の例文を分析することで、「にも」が「に」に置き換えられる段階→「に」でも「も」でも置き換えられる段階→「も」に置き換えられる段階→「にも」でなければならないもの、と段階的に存在していることが分かった。
平成24年度卒業生
       安藤 彩花 さまざまな否定表現について

日本語における否定表現は「−ない」という単純な形であるが、肯定文との対立関係や文脈に依存したりすることで、さまざまな様相をもつ。
       重中 明日花 オノマトペの研究

日本語の特徴と言われるオノマトペは、擬音語と擬態語の違いのみならず、ひとくくりにできない性質の違いが見られる。本論文では村上春樹『ノルウェイの森』の本文と英語訳版のオノマトペ表現を比較し、擬態語に日本語としての特徴が出やすいことを述べる。
       出口 香織 似た意味を持つ副詞の意味比較

「つい」と「うっかり」の明確な意味の違いを知るために用例分析し、両者の関係では「つい」はより意識的であり、「うっかり」はより瞬間的であることを示した。
       野添 将平 「かなり」の研究

程度副詞である「かなり」が状況によっては情態副詞的な働きをする可能性について追究した。
       林 侑民子 「ように」について

「ように」の意味的、構文的な働きについて考察した。
平成25年度卒業生
       今村 翔平 主観性現象描写文と客観性判断判定文

仁田義雄氏の研究から、発話・伝達のモダリティのうち「述べ立て」の下位類とした現象描写文、判断判定文について考察し、文の類型や意味的状況から現象描写文に主観性が強いもの、判断判定文に客観性が見られるものがあり、現象描写文・判断判定文にはより細かい類別化が必要であることを述べた。

熊本県立大学『国文研究』第59号に発表
       都築 尚子 似た意味を持つ接続助詞〜「けれども」と「が」〜

接続助詞「けれども」と「が」には「逆接」の他に「前置き」「婉曲」の用法を認めることができる。両者には用法的に重なる部分が多く、明確に使い分けることは難しいが、「けれども」が使いにくい場合でも「が」は使えるなど、「が」のほうが幅広い用法を持ち合わせている。
       牧山 つゆか 助動詞「ない」の判断をめぐって 

助動詞「ない」について、文中での「ない」の役割から「ない」に主観的判断、客観的判断に加え、どちらとも考えられる状況があるとし、そのように捉えられる条件について示した。
       本多 美咲 希望の表現「〜たがる」

「〜たがる」を「〜たい」との比較から論じ、「〜たい」は望んでいる状態、「〜たがる」は望んでいる言動、すなわち動作を表すとした。また、基本的には話者の希望を表す「〜たい」に対し、「〜たがる」は話者が動作主体の希望を捉えたものと考えられることを示した。
平成26年度卒業生
       村田 朋香 格助詞「で」の表現の性質

格助詞「で」の表現のうち、三つの用法に着目し、表現上の性質について他の格助詞との表現の違いも視野に考察した。その結果、「で」の表現に共通の性質として「様態性を持つ」「対象選択の偶然性を持つ」ということが明らかになった。
平成27年度卒業生
       梅津 拓也 いわゆる「格体制の変化」をめぐる問題

〜テイルが格を支配するという「格体制の変化」を提唱する論を取り上げ、格はあくまでも動詞が支配しており、〜テイルは「格体制の変化」には関係しないこと、動詞に内在するとされる格の範囲を従来よりも幅広く取る必要があることを論じた。
       仲村 美樹 二冊の『おおきな木』における表現の違いについて

シェル・シルヴァスタイン著『おおきな木』の二種の日本語訳について表現の比較を行い、読者に与える印象の要因について考察した。その結果、それぞれの表現の違いが読者の読まれ方と深く関わっていることが確認できた。
       平河 明日香 『万葉集』における格助詞「に」の意味分類とその本質

1.『万葉集』の格助詞「に」の用法は、大きく「空間次元の用法」と「非空間次元の用法」に分かれ、前者が基本的、一般的な用法である。
2.「空間次元の用法」は「存在点」「方向」「帰着点」「密着点」に、「非空間次元の用法」は「相手」「対象」「変化の結果」「目的」「原因」「動作の主体」「時」「比較の基準」「比況」「手段」「資格」に分類でき、全15用法が確認できる。
3.15用法の根底には「ある範囲の一点」という通用性があるが、これと各用法との親和性には強弱がある。
       松田 枝里子 時に関する「にも」の考察

時を表す語に下接する「にも」が「早ければ」の意味合いを持つ理由について考察した。結論として、示された時が「に」により時間軸上で拠点化され、発話時と時間的に距離ができること、また「も」の内包的作用が示された時と発話時の2つの地点を近接させること、のそれぞれがあいまって機能することが要因であるとした。
平成28年度卒業生
       井上 陽平 夏目漱石の作品から見る感動詞の研究

感動詞は非常に不確定な部分が多い品詞である。本稿では感動詞を対話的か、非対話的かで分け、細かく分析した。その過程で、他の品詞が感動詞的に使用されていることが確認でき、時代とともに感動詞が変化していく可能性を述べた。
       田崎 薫  「など」の単数用法について

副助詞「など」が複数の場合だけでなく単数のものを示すときにも使われるとし、「など」の単数用法として「マイナスのイメージの付加」と「表現のやわらげ」の二つの用法を示した。
       中島 千代美 徳冨蘆花『不如帰』内連体助詞「が」の特殊性

「わが君」「武蔵ヶ丘」のように現代語では形式的にしか使われない連体助詞「が」について、明治期の作品である徳冨蘆花『不如帰』での使われ方を調査した。その結果、従来の古代語での様子を踏まえながらも、現代語のような限定性でもなく、かなり恣意的な使われ方であることが分かった。