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第二画廊

保元物語/刊行年未詳/三巻一冊

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 本書は、軍記物語『保元物語』の刊本である。外題は『保元物語』、内題は無く、目録前に目録題として「保元物語」と刷られている。表紙は縦二六・一センチ、横一八・二センチ。原装のままである。別掲の『新板絵入 保元物語』と同板である。但し、欠損箇所の数や鮮明さから、本書が先に刷られたと考えられる。
 掲載写真は「新院御むほんろけん并てうふくの事」の挿絵である。馬に跨っているのが、保元の乱において後白河天皇方で戦った、源義朝。門の近くには「三条のもんたゝく」とあり、内裏への呪詛について、度重なる参内命令を受けていながらそれに応じない頼長のもとへ、宣旨を承った義朝が訪ねる場面である。(金森)

新板絵入 保元物語/貞享二年刊/三巻三冊

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 本書は、保元元年に起こった保元の乱の顛末を、鎮西八郎為朝の活躍を中心に描いた、鎌倉初期の軍記物語『保元物語』の刊本である。外題は『新板絵入 保元物語』、内題は無く、目録前に目録題として「保元物語」と刷られている。表紙は縦二五・三センチ、横一八・五センチ。原装のままであり、虫食いによる損傷が多い。別掲の『新板絵入 平治物語』と共に、六巻六冊でまとめられた内の、一巻から三巻までが本書である。また、同板である別掲の『保元物語』と比較して、巻三「為朝鬼の嶋にはたる事付さいごの事」において一丁落丁している。
 掲載写真は、「白河殿を義朝夜うちに寄らるゝ事」の挿絵である。源為義とその子ら六人を含む軍勢が、白河殿御所(北殿)へ夜討を仕掛けている。右には手前から、保元の乱において、御白河天皇方として戦った、鎌田次郎正清、源義朝が描かれている。左に描かれた門の上には、崇徳上皇方として戦った源為義と為朝が迎え撃とうとする様が描かれている。 (金森)

新板絵入 平治物語/貞享二年刊/三巻三冊

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 本書は、平治元年に起こった平治の乱を題材とした軍記物語『平治物語』の刊本である。外題は『新板絵入 平治物語』、内題は無く、目録前に目録題として「平治物」と刷られている。表紙は、縦二五・三センチ、横一八・五センチ。原装のままであり、虫食いによる損傷が多い。別掲の『新板絵入 保元物語』と共に、六巻六冊でまとめられた内の、四巻から六巻までが本書である。
 掲載写真は、「三条殿発向付けたり信西の宿所焼き払ふ事」の挿絵である。右上に「のぶよりしんぜいやかたに火をかける」とあり、馬に跨った藤原信頼率いる一団が、少納言入道である信西の宿所に火を放つ様を描いたものである。 (金森)

大宝 和漢朗詠集/文政六年刊/二巻二冊

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 本書は、平安時代の歌人、藤原公任が撰んだとされる歌謡集である。漢家詩文・本朝詩文・和歌を朗詠題ごとに分類配列している。  表紙左にある原題簽に「大宝 和漢朗詠集」とあり、その下に「仮名附」とある。目録題は「大宝倭漢朗詠集」、大きさは縦二二・二糎、横一五・六糎である。上下二段構成になっており、上段に書道花道の素養をのせ、下段に『和漢朗詠集』の本文が続いている。本文には仮名が付けられている。下巻末の刊記より、文政六年初秋、皇都書林中川藤四郎らによる刊本であることがわかる。
 写真は上巻一丁目の、歌人が建物の中から外の風景を眺めている様子である。(奈須)

新板伊勢物語/江戸中期頃刊か/二巻二冊

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 整版。表紙は縹色地に菱繋ぎの文様を空押ししている。大きさは縦二五・九センチ、横一八・二センチ。料紙は楮紙で、袋綴されている。匡郭は四周単辺。一面一二行で、一首は一行に収められている。紙数は上巻一九丁、下巻二五丁。下巻には「京寺町松原下ル町菊屋喜兵衛板」という刊記と奥書が記されている。なお、奥書は、前半は武田本の戸部尚書奥書と同一、後半は桃園文庫の法橋玄津筆本の長禄二年奥書と同一のものが付記されている。また、墨印の絵が、上巻に六面、下巻に七面ある。
 掲載画像は上巻六丁表にある絵。六段の、男が女を連れ出し、芥川を過ぎる場面が描かれている。 (成富)

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