理事長紹介・メッセージ

公立大学法人 熊本県立大学
理事長 白石 隆(しらいし たかし)
【プロフィール】Ph.D(歴史)(コーネル大学)、文化功労者。
政策研究大学院大学学長、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所所長を経て、平成30年4月1日に公立大学法人熊本県立大学理事長就任。
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令和3年3月23日公表 

理事長 白石 隆

~ 令和2年度卒業式祝辞 ~

皆さん、卒業、おめでとうございます。

 

本来であれば、ご両親、ご来賓の皆様と一緒に、今日、皆さんの卒業をお祝いすべきところですが、こういう事情で、少しこじんまりした卒業式になりました。残念ですが、それでもこのように卒業式を開くことができて、喜んでおります。ご卒業、おめでとうございます。

 

ご承知のとおり、この1年は世界史に残る1年となりました。

 

正直なところ、1年前には想像もしませんでしたが、リモートと対面によるハイブリッドの講義、セミナーはかなり定着した、と考えております。また、大学全体としては、これから数年のうちにデジタル化を急速に進めるチャンスだとも考えております。

 

みなさんの生活も大きく変わったことと思います。また、そうした中、みなさんの多くが、そもそも大学で学ぶというのはどういうことか、講義、セミナーに出席して、先生から教わるということが大学で学ぶということなのか、大学というのは社交の場でもあって、新しい人たちと知り合う、そういう人たちから学ぶということも同じくらい重要ではないのか、そういう形で大学の意義を考えた人も少なくないのではとみております。

 

その意味で、今回は、大学とはそもそもどういう場なのか、どういう場であるべきなのかを考える非常に重要なチャンスでした。

 

しかし、今日、私がみなさんに申し上げたいことは、大学についてどう考えるかではなく、これからみなさんが人生を歩んで行く上で、ぜひどこか頭の片隅に置いておいて頂きたいことです。

 

今年、我々が経験した事は、非常に一般的に申しますと、頭のどこかで、ひょっとしたらこういうことも起こるのではないか、そう思っていたことが現実に起こったということです。それが熊本だけでもなければ、日本だけでもなく、世界全体で起こって、非常に大きな影響を持った、その結果、人類の生活そのものが予想もしなかったような形と速度で変わり始めたということだろうと思います。

 

もう20年ほど前のことですが、あるアメリカの政治家が、9・11の同時多発テロの直後に世の中の出来事は3つに分けることができると言いました。

 

一つはknown knowns、つまり、「知っているということを知っていること」です。

もう一つは known unknowns、「知らないということを知っている」ということです。

そして、さらにもう一つは unknown unknowns、つまり、「知らないということすら知らない」ということです。この政治家は、9・11はunknown unknowns の一つだと言いました。

私は新型コロナウイルス感染症が中国の外に拡がりはじめたとき、これは unknown unknownsの一つなのかと考えました。しかし、それから一年、これについていろいろ考えた末の結論はおそらくそういうものではない。それどころか、unknown unknownsknown unknownsknown knownsという整理は一見、わかりやすいが、それ自体、間違いではないか、そう考えるようになりました。

 

どういうことか。

 

世の中には、あるいは我々の人生には、予期しないことが次々と起こります。我々は不確実性とともに生きております。人はそうした不確実性を「霧」「不透明性」「摩擦」など、いろいろな言い方で表現します。しかし、重要なことは、そういう不確実性も決して全く予想できないことではないということです。量子力学で「不確定性原理」、あるいは「ハイゼンベルクの原理」と言いますが、我々は個々の量子の挙動を予想することはできません。しかし、量子の挙動が全体としてどういうものか、これは統計的に予測できます。

 

同じように、世の中で起こること、我々の人生で起こることも、その蓋然性はある統計的な分布をとっているはずです。

 

つまり、ごく簡単に言いますと、今回の新型コロナウイルスの感染症においても、我々がある行動を取るとき、そのリスクはどの程度か、これは確率上の分布として理解することはできる。どこまで意識しているかは別にして、我々はそういう蓋然性を時とともに学び、それぞれの判断としてある程度のリスクを取りながら行動してきたと思います。

 

これは別に今だけのことではありません。ある意味では、こういう予期せぬ事態にあったからこそ、我々はそこから学び、行動を変え、新しい社会のあり方をこれまでよりもスピード感を持って作るようになっていると言えます。

 

これからも、みなさんの人生では予期しないことが次々と起こると思います。また、予期しないことは熊本にも日本にも世界にも次々と起こることだろうと思います。そういう時、我々がどういう行動をとるか、どのくらいのリスクをとり、その先を考えてどんな行動をとるか、それによって我々は危機を好機に変え、自分の判断の上に、我々自身の人生を作っていけると思います。

 

これから先、皆さんの長い人生の中ではいろいろ予期しないことがあります。時には全く予期しなかったような危機に会うかもしれません。しかし、そういう時にも、冷静さを失わず、ことの蓋然性を判断し、先を読み、危機を好機と捉え、やりたいことをどんどんやっていただきたいと思います。また、大学がそのためのしっかりしたベースを作る場となったと信じます。

 

卒業おめでとうございます。ぜひ人生を楽しみつつ頑張ってください。



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