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馬場 良二(BABA, Ryoji)

【メッセージ】

多文化共生社会を目指して(2008年)

 日本語教育はボランティアと結びつきやすい。 外国人に日本語を教えたいと思う人というのは、親切心が旺盛なのかもしれない。 そもそも日本の社会の枠組みから一歩外に踏み出そうというのだから、 自分の利益というのは考えにくい。自分の利益を考えるなら、枠組みから出ないほうがいい。

 しかし、私は、学生たちがただで日本語を教えることに積極的でない。

 2000年に外国語教育センターの事業として、熊本市内の 子どもたちのための日本語教室を開いてくれないか、と言われたときも、まず、 学生たちへの謝金の確保を約束してもらった。結局、約束は果たされず、 それでも教えたいという学生の気持ちと、授業をしてほしいという要請とに押され、 2001年の春休みに子ども日本語教室を主催した。

 それが、発端だと思う。教室の外へと目を向けるだけでなく、 足をはこぶようになった。2003年には、締切ぎりぎりに来た国際交流基金からの 助成プロジェクトにおおあわてで応募し、2003年度「地域日本語教育ボランティア研修」を 開催した。これが縁で、熊本市国際交流振興事業団とのおつきあいが始まった。 熊本県の国際協会と県内の諸団体とがよりあって、「そうよ_かたらん会」という会もできた。 この会が、その後の研修会の主催母体となっている。

 その中で、2008年度に大学院生が「多文化共生クラスター」という活動を立ち上げた。 熊本市国際交流振興事業団の協力のもと、学生たちが勉強会を開き、 2月14日には外部から多文化共生の専門家を招き、大規模なシンポジウムを開催した。 熊本の地方紙には写真入で大きく掲載されもした。


 私は圧倒的に語学よりの日本語教師で、日本語の音声、 文法の分析と記述が第一に重要だと考えている。 今年度は、博士後期課程ができ、学生が2人来た。 前期課程の専門職入試も始まり、言語聴覚士が2人私の授業をとっている。 大学院の授業だというのに学生が10人近く顔をそろえる。 どのようにバランスをとり、どこに照準を合わせるべきか、 ずいぶんと悩んだ。来年度は今年よりうまくいくだろう。


 研究室の中で日本語を分析、記述する作業と、日本社会の枠組みというのは 今思っているものよりずっと広く大きいのだという事実を発信し続ける作業、 どちらも日本語教師にとっておろそかにすることはできない。

夢工場(2008年)

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 今年は、実習の引率に行かなかった。

 科研の最終年度が二つかさなった。一つは、熊本市内方言のテキストで、 私が研究代表だ。もう一つは、教師養成関係で、私は連携研究者だ。 それに、5月は釜山で発表、9月は姉妹校である韓国祥明大學校でフォーラムを企画、 運営し、本学日本語日本文学科の教員2人を引率した。 そして、同じ月にタイで1週間、教師養成関係の科研の調査を行った。

 実習団に同行すれば、私自身の勉強になる。 実習団を受け入れてくださる組織、先生方に挨拶もしなくてはいけない。 第一に、実習生にとってはずいぶんと心強いだろうし、 教室で教壇に立つ直前までそれなりに指導、アドバイスはしている。もちろん、直後もだ。

 しかし、行かなくてよかった。 実習の引率にまったく行かなかったのはずいぶんとひさしぶりだ。 引率に行かなくとも、やるべきことは山ほどあり、ずいぶんと仕事をした。 講義、授業の面では、例年より充実していたように思う。 やはり、ずっと研究室にいると、学生の指導に目が届くのだろう。


 1年生の授業は「日本語教授法Ⅰ」であり、この授業はずっと水曜日の1時間目に入っている。 日文、英文に共通の科目で、あいている時間がこの時間しかないからだ。 そこに、今年から文学部の基礎科目という新しい科目が入ってきた。 必然的に、学生たちはどちらかを選択しなくてはならない。 これが当たった。日本語教育とか言語とかに興味のない学生は履修しない。 単位がほしいだけの学生が激減した。履修者数も、50人近かったものが半減した。 数の面でも、質の面でも、授業がはるかにやりやすく、学生たちの理解の度合いがよくわかる。

 1年生への後期の授業は「日本語教授法Ⅱ」だ。 ⅠもⅡも、開講して以来もっとも充実した授業だったんじゃないだろうか。 この1年生たちのこれからが楽しみだし、来年度からのⅠとⅡが楽しみだ。


 4年生のうち2人は、京都にある日本語学校に採用が決まった。 1人は、そのまま大学院にすすみ、研究室に残る。 1人は民間に就職だが、職場は大学の近くだし、きっと顔を出してくれるだろう。 修士修了は3人で、1人は韓国の大学での採用が決まり、 1人は国際交流基金のプログラムでラオスで1年間日本語を教えることになった。


 みんながそれぞれ夢をかなえてほしい。夢のかなえられる研究室であり続けたい。

タイ国にて(2006年)

 2006年にタイ、バンコクのシーアユタヤ高校を訪問しました。中高生を対象とする日本語による 全国規模のスピーチコンテストがひらかれていました。

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筆記試験の結果を待つ参加者たち
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学校紹介ブース
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日本文化紹介の展示
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コンテスト終了時の記念撮影

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日本語教育研究室では、毎年、日本語支援を必要とする子どもたちの担任の先生方、また、子どもたちに日本語を教える先生方にむけて研修会を開いています。

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