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平岡 隆二(HIRAOKA, Ryuji)

【メッセージ】
 近世日本の科学、とくに宇宙論や天文学を題材とした思想史研究を進めています。

 当時の日本人が宇宙あるいは世界について考える時に用いた概念や知識は、明・清の中国から伝わる学問を基礎としつつ、初期の南蛮系や中後期の蘭学・洋学系など、たえず西洋からの影響を受けながら、独自の発展をとげました。

 日本人が、大地が平坦ではなく球体(すなわち「地球」)であるということを認識し、それが一般に受け入れられるようになったのも、この時代のことです。

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南蛮系宇宙論に大きな影響を与えた、イエズス会士クリストフ・クラヴィウス著『サクロボスコ天球論註解』(リヨン、1593年刊)のタイトルページ。宇宙を模した天球儀の中心に「地球」が位置しています。

 私は特に、近世初期にイエズス会宣教師によって伝えられた南蛮/キリシタン系の宇宙論について調べてきました。たとえば、当時の天草や長崎のコレジオで使用されたラテン語の教科書の内容とそのルーツについて調べたり、またその教科書は日本語に翻訳されて、江戸時代に写本の形で写し伝えられるのですが、そういう写本が今どれくらい残っていて、どういう内容の違いがあるのか、また当時の人々にどのように読まれたのか、といったことなどを調べています。

 それ以外にこれまで扱った研究テーマでは、地動説の提唱者コペルニクスの宇宙論とルネサンスの芸術思想との関係にまつわる研究や、江戸後期の仏教天文学の版本調査も行いました。また近世長崎のオランダ通詞(通訳)の業績や各種伝習所について調べたり、日本とオランダに現存する川原慶賀の作品の悉皆調査のお手伝いをしたり、長崎の墓地や、あと蔵書印についても調べました。17世紀の佐賀で作られた測量器具のルーツをもとめて、スコットランドを訪ねたこともあります。

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帰化唐人を先祖に持つ、長崎唐通事・潁川家(官兵衛系)墓地。もはや詣でる人もなく、草深い。

 そういう研究を進めていると、海外の研究者や機関との交流が重要になってきますので、ときどき国際会議や学会で発表したり、必要な分については英語で論文を書くようにしています。

 また前職が博物館の学芸員だったので、さまざまな種類の資料や作品(美術、工芸、古文書、考古遺物等)の取り扱いや管理に携わりつつ、小規模の特集展示から、海外史料を借用し全国を巡回する大型企画展まで、いろんな種類の展覧会をやりました。

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日蘭通商400周年記念展『阿蘭陀とNIPPON -レンブラントからシーボルトまで-』の展示会場内(2009年11月~2010年1月。長崎歴史文化博物館)

 これまでしてきた研究や仕事について、ウェブにアップできる分は個人HPにまとめていますので、興味のある方はご覧ください。
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