共通教育

General Education

共通教育センター長メッセージ

 中華圏の大学では共通教育(教養教育)のことを「通識教育」と言う。その内容は日本の大学の共通教育(教養教育)とほぼ同じだが、私はこの「通識教育」という言葉が好きだ。「通識」の「通」の字は、日本語でも「通人」とか「通ぶる」などの言葉として使われているが、中華圏では特別な意味合いを持つようだ。

 古代中国の学問、すなわち儒学は、本来はある家庭が代々一つの儒教経典、例えば『易』とか『春秋』とかを専門的に学ぶというスタイルだった。これを「家学」と言い、「○家は『易』の専門一族だ」ということになり、特定の学問のみを深く研究する中で「博士」という言葉も生み出されてきた。だが、ある時、それでは飽き足らない人々が現れ、「家学」の学問を超えて他の儒教経典も併せて学ぼうとし始めた。その結果、中国の儒学は深い専門性を踏まえながら、横断的広がりを見せるようになった。彼らのような儒者は「通儒」と呼ばれた。即ち「通儒」という学問は、深い専門性がなければ成り立たないが、一方で専門性に留まっていては達成されないのである。中国語の「通」にはそうした歴史があり、「通識教育」の語には学問に対するある種の自負が窺える。

 日本の教育の最高学府である大学では高度に専門的な学問を学ぶことを目標の一つとしている。最先端の専門学問を学ぶことは大学教育の醍醐味だ。大学の先生方はそれぞれ専門とする研究領域を抱え、学問を深く掘り下げている。だが、そして、その先に広がっているのが「通識」の世界、すなわち「共通教育」の世界なのである(私は少なくともそうありたいと思っている)。

 私達の共通教育センターは、人文科学、自然科学、社会科学にわたる教養科目、外国語、データ・サイエンス、情報処理、キャリア教育、健康スポーツ科学、そして「もやいすと」に代表される地域理解などの科目を提供している。様々な問題と向かい合う柔軟性を持つためには、専門教育とともに共通教育はなくてはならない。学生の皆さんが、深い専門性を学びつつ、その先に広がる「通識」の世界に興味をもってもらえることを願っている。

共通教育センター長メッセージ
共通教育センター長 山田 俊

全学共通教育の概要

「人文科学、自然科学、社会科学の集約型大学」である 熊本県立大学の特色を生かした共通教育で、
「地域に生き、世界に伸びる」人材の育成をめざします。

共通教育は、基盤科目と教養科目の2つのカテゴリーから成っています。基盤科目としては「外国語(英、独、仏、中、韓)」、「情報処理とデータサイエンス」、「キャリアデザイン」、「健康スポーツ科学」、「地域理解とリーダーシップ」の分野を用意し、大学そして社会で行動していくための基礎能力の育成を行います。現代社会は複雑・多様化しています。教養科目では「人文科学」、「自然科学」、「社会科学」が集約された熊本県立大学の特長を生かし、それぞれの学問分野から多くの授業を開講しています。これらを提供し、共通教育を通して市民性の涵養を図るとともに、現代社会をとらえる見方や考え方の育成をめざします。

細分化が進む現代社会だからこそ、豊かな人間性と物事を的確に判断する能力が求められています。熊本県立大学では複雑化した現代社会を見る豊富な科目で「地域に生き、世界に伸びる」人材を育成します。

Intensive Englishの授業風景

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

全学(学士課程)の教育課程編成・実施の方針

(カリキュラム・ポリシー)(共通教育の内容含む)

共通科目群の構成

外国語

本学の外国語教育では、国際共通語としての英語の実践的側面に力を入れ、国際共通語としての英語の運用能力の向上を目標としています。また、初修外国語として「ドイツ語」、「フランス語」、「中国語」、「韓国語」の科目を開講し、聴き、話し、読み、書く総合力を養成し、外国の書籍を読み、それらの持つ豊かな内容の理解を目指します。

英語運用能力を高めることを目的に、英語漬け環境で短期集中的に英語を学ぶ「Intensive English」という科目を開設しています。

科 目

英語/ドイツ語/フランス語/中国語/韓国語

外国語

情報処理とデータサイエンス

近年の情報ネットワークシステムの基本構成や使用法、その使用にあたっての 情報モラルやセキュリティについて学び、情報機器の基本的な操作を学習します。また、様々な場面でデータに基づく意思決定ができる基礎的な能力を養うこと、すなわちデータ思考の基礎を涵養することを目指します。

科 目

情報処理入門/データサイエンス入門/データサイエンス演習

情報処理

キャリアデザイン

大学で何をいかに学ぶか、その姿勢や方法を学ぶとともに、自己のキャリアを継続的にデザインし続けていく能力を育成します。

科 目

プレゼミナール/キャリア形成論/インターンシップ

キャリアデザイン

健康スポーツ科学

運動・スポーツ活動の健康に対する有用性について理解を深め、将来にわたって心身ともに健康な生活の設計と実践ができる能力を育成します。

科 目

健康の科学/生涯スポーツ実習

健康スポーツ科学

地域理解とリーダーシップ

地域の抱える課題に関心を持ち、地域の人々と協働して課題解決の方策を考える、地域づくりのキーパーソンを育成します。「もやいすと」育成システムもこの分野で展開します。また、授業によっては、地元企業の経営者や熊本県庁職員等多くの外部講師を招へいし、地域社会の今を紹介します。

科 目

もやいすとジュニア・シニア育成/ 新熊本学:ことば、表現、歴史/新熊本学:地域のビジネスリーダーに学ぶ 等

地域理解とリーダーシップ

新熊本学

「熊本」を学ぶ、「地域」に学ぶ

熊本で学ぶことの意義、それはここ熊本でしか学べないことを学ぶこと。熊本県立大学では、このような「熊本」にこだわった授業を全学共通科目の中で展開しています。それが、「新熊本学」。「熊本」という地域に、様々な角度からアプローチしていきます。

「熊本」を学ぶ、「地域」に学ぶ
「新熊本学」の講義風景
有限会社阿部牧場 代表取締役 阿部寛樹氏

人間と文化

人間の感情や判断は、その人が育った時代や地域の文化の影響を強く受けています。思想、宗教、歴史、芸術、文学、言語などを学びつつ、人間の思考がいかに形成され、表現されてきたのかを考察し、その考察を通して人間の本質への洞察力を高めることを目指します。

科 目

科学の思想/現代世界と歴史/人間と芸術/心理学入門 等

人間と文化

自然と環境

現代の基礎科学に関する知識を習得し、それが先端技術として生活にどのように利用され、今後どのように活用されていくのかを考えます。また、現代社会が抱える環境問題について、多角的に考察します。

科 目

環境と生物圏/エネルギーと社会/環境と生きる/住まいと地域環境/食と環境 等

自然と環境

社会と世界

法律、政治、経済、情報等様々な要因から規定されている社会が我々の生活にどのように関わっているのかを学び、社会が抱えている課題とその解決策を考察します。また、グローバル化が進展する現代世界における経済問題・国際関係についての理解を通し、我が国の国際的位置付けや役割等について考察し、国際人としての見識を養います。

科 目

生活と憲法/現代社会と企業/情報と社会/マスメディア論/世界の経済/国際協力論 等

社会と世界

協力講座

社会の第一線で活躍する人から学ぶ

「協力講座」とは、大学と協定を締結した企業の第一線で活躍する人たちから学べるオンリーワンの授業です。各授業のテーマについて学ぶだけでなく、社会で求められている知識や技能とは何か、また、大学で学ぶ理論、知識が実際の社会の中でどのように役立てられるかなどを、企業の持つ実践的知識をもとに「理論」と「実践」を学びます。

「情報と社会」NTT西日本熊本支店でのフィールドワーク
「情報と社会」NTT西日本熊本支店でのフィールドワーク
「エネルギーと社会」の講義
「エネルギーと社会」の講義
担当
共通教育センター